9 堀江の百万遍
 

 堀江部落では、田植が村中残らず終った翌日を「順気休(じゅんきやすみ)」として、この日に観音院本堂の大広間で、百万遍が行われる。
これは直径五米もある大きな桐の木で作った念珠を、車座に坐って「チンチンドウナンマイダー」と唱え乍らこの大念珠を繰るのである。
これが終ると、赤ん坊の頭ほどある握り飯一つと、胡瓜の塩漬けを呉れる。それを楽しみに私らはよく、子供の時には、この寺へ行ったものである。
なお、この日の握り飯を炊いたり作ったりするのは、総て男ばかりですることも一寸、面白い習わしである。但しこの行事も次第に衰えて昭和45年頃から癈せられた。


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