7 五月五日 菖蒲の節句 | ||||||
男子の生れた家では、鯉のぼりを、一月(ひとつき)も早くから立てる。年毎に昔より華かになって来出した行事の一つである。商売人のPRにもよるらしいが、子供の前途を祝って買って来たり、贈られて来た武者人形などを飾って祝う。 またこの日、粽団子(ちまきだんご)を作って配る。今でもこの粽団子は蛭子町では作っている。 餅米を粉に挽いて、沼に生える葦の葉に、この粉を固く水にしめして団子を造らへて葉に包み、これを藁すべで固く何回も何回もグルグルと巻いて「コシキ」で蒸すと出来上り。 但し、温い時は、どうにか食えるが、冷めると石のように固くなって、全く食べられるものでない。昔、何でも支那のある武人が、大河で船が引くり返って流され何日もの間、その時、持っていたのがこの粽団子で、これを食っていたので助かったと言い、いわば非常食であったと思われる。カチカチに固くなっても虫もつかない。完全包装である。 蛭子町では、今でも昔通りに作っている。これを戸口へ、また窓などにも吊しておく。 またこの日、川から菖蒲を切って来て、ヨモギの葉と一緒にくくって、これも神さんやお墓へ上げ、家の戸口にも吊す。風呂にもこれを入れてたく風習が残っている。子供はこの菖蒲で鉢巻したり刀の真似をして一日遊ぶ。
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