5 お東ご殿
 
 家中、大手(追手)筋の幅広い道の行き当りに、今は壁は落ち崩れかけているが、堂々たる門構えの名残は、今尚、往時を偲ばしめるものがある。
 この建物を今も人呼んで「お東ご殿」と言い、親しまれている。広い屋敷で現は何軒も人が住んでいる。漆喰塗り、なまこ壁、など実に立派であったであろう。
 昔は、この門には、六尺棒を持った門番が厳しく控えていたのだろう。「頼もう!!」「ドーレ」などの声が今にも聞えて来るようだ。
 然し、今は、壁はくずれ落ち、管理する人もなく、全く危険状態にある。近々取壊さる運命にあるとも聞く。町文化財としてでも復元したいと思うが、思うようにならない。全く惜しい建物である。今までは、多度津を照介する際、必ずといってよい位い、この「お東ご殿」を搭載していたものである。

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