第四項 子供時代の思い出
 町や村へよく来ていた旅芸人・その他
  1 オイチニーの薬うり

 柿うるる頃ともなれば 富山より
  風琴ならして来る くすり売り
       (林間短歌会同人 多度津町 亀山末広氏作)

 題名にあまりピッタリ来るものがあるので、あえてここに同氏の作を拝借した。
 街から街へ 村から村へ
 昔、帝国海軍(日本の)華かな時代、海軍将校の第一装礼装そっくり、金モールの肩章、金ボタン、礼帽で、今はあまり見ないが「仁丹」の商標になっていたものに似た服を着て、肩から薬を入れた革の黒い鞄をかけ、両手で手風琴(アコデオン)を鳴らしながら
節(ふし)面白く、
 「オイチニー、オイチニー、お医者のくすりは よう効(き)かん
  オイチニーのくすりは よう効(き)いた オイチニー、オイチニー」と手風琴に合わせて、風薬や、腹痛に頭痛などの薬を売って、村から村へ、街から街へと歩いて行く。
 子供達は、その後をゾロゾロと、いつまでもついて歩いたものである。
しかし、今はもうやめてしまったのか、来なくなった。
私達、子供時代のなつかしい思い出での一つである。


内子町で見かけた仁丹の袋
 
   
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