4 多度津附近の市立
 
 この市立は縁日に、寺や神社の境内で人手を当て込んで色々なオモチャや駄菓子、植木類、金物などの小店が軒を連れて売る、結構子供心を楽しませて呉れたものである。
ここでは昔、多度津にあった市立てを書いて見る。

正月三日に、今も細々と続いているが、多度津の多聞院さんの毘沙門さんの福引もこのうちに入るだろう。未明から鳴り出す大鐘に起こされて、昔は大抵の人が、お詣りして福引を引いたり、宝舟などを買った。相当の大賑いであったが今は次第に淋しくなって行くようだ。

十日戎、浜ノ丁にある蛭子神社でも、昔はこの神社の裏・浜ノ丁辺でも沢山の出店が出て賑ったという。

十七日お観音さん (鍛冶屋町)
 鍛冶屋の中程(森自転車屋北横入り)に、お観音さんを祀ってあった。
 今は、この観音さんは景山甚六衛門さん個人で、中ノ町の摩尼院内に銅ぶきの立派なお堂に祀られているが、昔、鍛冶屋町にあった時代には、「ほうずき市」ともいい、また「四万六千日」とも言って、多くの人がお詣りしていたという。町筋では、赤く熟れた「ほうずき」の実や木のままの鉢植も売っていたそうである。
 この日にお詣りすると、一日が4万六千日に通じるご利益があるとされていたと言う。
                               (中ノ町の叔母の話)

二十日の鴨大師
 昔と言っても私が知る範囲だからそう古くない。二十日はお大師さんの日で、往還から多度津への道には石油ランプの献灯が、この二十日には明かるく灯された。まだ電気のない私の子供時代、二銭か三銭貰って夕方から北鴨のお大師さんへ遊びに行く。
お焼き、煮豆、するめ焼、ミカン水など売る店にしか気につかない。
兎角、多度津から大勢詣って、ここでも市立で賑った。

その他
 北鴨の大饗市・海岸寺市・塩屋市・金藏寺市・善通寺市などは、あまりにも知られているので割愛した

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