1 便所の神さんは盲か (高見・佐柳・蛭子町で)
 

 昔、この附近の農家や、島では、便所を大抵のうちが、家の外に設けてあった。
 そして、この便所の入口には、竹筒を切って作った花立てにお花を挿してあり、その下には、毎日お線香を上げる風習があった。
 今でも、この裏の蛭子町・高見・佐柳の島々に一部、この通りにしているのを見る。
 その土地の人は、便所の神さんは盲であるという。それで便所へ入る時は、必ず「エヘン」と咳拂いをしてからでないといかん、と言う。
 また毎日、便所をきれいにしておかないと、眼を患うと言い伝えている。
 
(註)咳拂をすることは、今の「ノック」に当るし、常に清潔と眼病を結びつけた、昔の人はうまいことを考えたものだと、つくづく感心する。


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