18 村の秋祭り  (堀江部落)
 

 報恩講の前に書くべきであったが、順序が違ったことを許されたい。ここでは堀江部落の氏神、弘浜八幡神社の秋祭り、と言っても現在のものではない。昔のイメージを紙上をかりて私なりに書く。
 この堀江部落では、頭屋組(何年目かに廻って来る)があって、その年、一年中のお祭りごとに奉仕する仕組であった。
 大祭の前日は、村総出で八幡さんの大掃除をしたり、奉納を八幡前・地蔵前・稲荷社前・毘沙門社前・観音院前・天神社前へ立てたり、それこそ、村中大騒動でする。
 さて当日ともなると、神官・村長・(又は代理)氏子総代、勿論村総出で神官のお祓いを受け、それから村長(又は代理)は、村社であるので、奉幣使となって衣冠装束に身を正し、総代も紋つき袴姿で、神柩に随行するのである。
この神霊は、家の前を通って、家中天満宮へ渡御されるのである。道中は堀江組の「ほ」奴組による美しい鳥毛や毛槍を捻り乍ら静々と進む。昔さながらの一幅の絵巻物のようで近在では稀な、お旅であったが、昭和20年8月の終戰によって、今まで県から幣帛料を下賜されていた恩典もなくなり、この鳥毛組もいつか解散して、お旅行事も廃されてしまった。また子供心を湧かせた獅子舞も、年と共に影をひそめ、今では辛じて、年配の人達だけで、思い出したように五社使いくらいになって、昔懐しいお祭りは次第に色あせて来た。
 なお亡父栄祐は、終戰になるまでこの八幡さんの氏子総代を永年勤めていた。


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