15 灯篭流し
 
 この付近では、もう見られないお盆行事のうちの一つであった。これは新佛に三年吊であった盆灯篭を舟に乘せて海へ流すという行事である。
死人が出て、三年間、佛さんに吊ってあったこの燈篭を、麦藁で長さ1米あまりの舟を組んで、これに燈篭を乘せ、蓮の葉に、お団子や、飯、お菓子、子供なら生前好きなおもちゃ、お菓子などを沢山積んで、身の濃い人が、これを担いで、八幡波戸か天神波戸の先きから海へ流す。
 年によると、この火の点いた燈篭舟が何艘も何艘も、ユタユタと浮んで、汐に流されて行く、哀愁をおびた晩夏の風物詩でもあった。帆はウダ紙で、これに大抵の舟は「西方丸」と書いてあった。「極楽は西方に在るのか」。今は全く、この行事はしないで、お寺や、桜川の畔で、坊さんの読経している中に、火をつけて焼いて仕舞うようになっている。

  
   灯籠舟(グラフたどつ)

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