24 八幡(はちまん)の森(やはたの森ともいう)
         (多度津葛愿・八幡)
 

 昔、森八丁とも言われた大森林地帯で、今でも暗い感じのする森である。
 この森の中に、八幡さんをお祀りしてある。昔、神宮寺もあったところで、今は趾だけで僅かに土塀(どべい)の壊れた処が少し残っている。
 明治の初め頃までは、この森を通り抜けて、旧国道の伊予街道が通し、旅宿も数軒あり、茶店、湯屋まであって繁昌していたが明治四年の大火で焼失した。
 とあれ、昔この街道を往来する人馬は、先づこの森で休んだり、食事をしたことであろう。
 またこの森の中には、いつもコンコンと自然に湧き出る泉があるので、特に夏などはこの冷い湧水で、旅人は顔を洗ったり、呑んだり、馬にも飲ませたことであろう。
 古い本で金比羅絵図にも書かれている程、この森は昔から有名な森である。
現在では、公害の少しもない、この八幡森から湧出する上水を利用して、本県でも有名な「清酒、金陵」がこの森に隣接する地所を買収して広大な多度津工場を建設して盛んに酒造りを始めている。



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