10 大つごもりの晩のはなし  (佐柳昔話)
 
 昔々、大つごもりの晩(年の夜ともいう)に戌亥(いぬ、い)の隅で鳥が鳴くので、爺さん婆さんが不思議に思った。この家の爺さんは、面白い人であったので「戌亥の隅で鳴く鳥は、福つくか、福つくか」と歌うと、不思議にもこの爺さん婆さんのうちは、福がついて、村一番の大金持ちになった。
隣の人が、その噂を聞いて、一つ、うちも大金持ちになろうと思い、年の晩の来るのを待っていたが、いくら待っても鳥が鳴かない。丑の刻(夜中の頃)になってやっと鳥が鳴いたので、言う言葉を間違えて「戌亥の隅に鳴く鳥は、はれつくか、はれつくか」と歌ったら、その家の爺さん婆さん二人とも、大病にかかって、身体中がはれついて、死んでしもうた相じゃ
    候へばくばく



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