9 猿の尻はなぜ赤い
 
 ある日、カニに頼まれて猿は木に登って、柿の実をもいでいた。そして大きい袋に甘いうまそうなもんばっかしちぎっていれ、それをカニに渡そうとしないのでカニは残念に思い、風が吹いて来て、袋が木から落て来たら、自分の穴の中へ引張り込もうと思い、「風々吹け、西の風ブー、東の風ブー」と、言うたら風が吹き出して、木の上へおいてあった袋がドサリと落て来たのでカニはすぐ自分の穴へ引張り込んだ。
 猿は木からおりて来て「カニさんよ、少しは呉れ」といったが、カニは返してやらなかったので猿は怒って、カニの穴へ小便(しょんべん)しかけたら、カニは怒って猿の睾玉(きんたま)を両手の鋏でガイにつめったので、その痛いこと、痛いこと、なんぼあずっても、カニは離さないので、みるまに、猿の顔が赤くなりカニの手が千切れて、尻もちをついて、ほいで猿の尻はそいから赤くなってしもうたそうな。
  もう シャン シャン

この話中、一部島の方言に直しました。
ガイニ=きつく・強く。
あずる=困ること。
ほいで=そしたら。
そいから=それからの意


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